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ロケット村でシドが仲間になり、タイニー・ブロンコで飛び立ったのはいいけれど、
神羅の攻撃で飛べなくなってしまった。
一応水上を移動できるので、ボートがわりに使っているけど・・・。
「か〜〜っ!やっぱダメだ!気になってしょうがねえっ!」
シドが頭を掻きむしりながら叫んだ。
「びっくりした〜。どしたの?」
わたしがそう尋ねると、シドは申し訳なさそうに言った。「なあ、ちょっと時間くんねえか?やっぱりタイニー・ブロンコは飛んでねえと気持ちわりいんだよっ。」
両手を組んで後ろの席に座っていたクラウドが、少し身体を起こした。
「直せるのか?相当ダメージを受けただろ?」
「故障の度合いにもよるけどなぁ。多少の工具や部品は積んであるし、せめて故障箇所の確認ぐらいはしてえんだよ。」
シドは大きなため息をついた。
わたしはちょっと考えてから言った。
「いきなり爆発したり、沈んじゃっても怖いし、一度みておいた方が、いいよね?」
クラウドを振り返ると、彼も少し考えてから頷いた。
「・・・そうだな。適当なところで上陸するか。」
わたし達は小さな無人島を見つけ、浜辺に上陸した。
「おまえらは適当に休んでてくれ。」
シドの手伝いをするといっても、わたしではかえって足手まといよね。
モンスターも見当たらないし、短時間ならシドを1人にしても平気そう。
「ここにいたら、邪魔かな?」
「そうだな・・・」
クラウドは辺りを見回し、少し離れた小高い丘を指差した。
「あの辺りで待つか」
丘を登っている途中、少し前を行くクラウドが、手を差し出してくれた。
「・・・ほら」
クラウドはいつもよりさらに、ぶっきらぼうに呟いた。
「ありだとっ」
きゅっと手を握ると、彼は前を向いてしまった。
照れてるのを隠そうとしてるのかな?
でも、耳が真っ赤。可愛いっ。
笑いをこらえて下を向くと、足元にピンク色の小さな花がたくさん咲いていることに気づいた。
「お花、可愛いね」
クラウドは黙っていた。
最近は返事がなくても、あまり不安にならない。
話さなくても、なんとなくクラウドの気持ちが、わかるようになってきたから。
今彼は、この状況を楽しんでる、そんな気がする。
丘の上に立ってみて、感激した。
光に反射してキラキラ輝く海と、雲ひとつない空。
360度、ううん、足元以外はどこを見ても、真っ青だった。
空を飛んでいるみたい。
こんな景色は、生まれて初めて見た。
「・・・星が生きてるって、感じがする、ね。」
そう言ってわたしは深呼吸した。
斜め後ろに立っているクラウドは黙っていた。
「ミッドガルにいた頃、空は建物の隙間から、ほんの少ししか見えなかった。
土が汚染されてたから、お花が育ったのは、家の周りと教会くらいだったし、海は、写真でしか見たことなかった。」
クラウドを振り返ると目が合った。
「世界にこんな場所があるってこと、知ることができて、うれしい。」
クラウドに感謝したくて、彼の手を取った。
「クラウドが神羅ビルから助け出してくれたから、だよね。・・・ありがと。」
クラウドがふっと笑った。
優しい彼の笑顔に、胸がしめつけられた。
クラウドの不思議な蒼い色の瞳を見ていると、出会った頃のことを思い出す。
初めて会った時には、もう惹かれてた。
最初から、100%彼を信じられた。
自分でも不思議なくらい。
「ね、コスモキャニオンで聞いたじゃない?命が星を廻るって。
死んでライフストリームに還った後、そこからまた新しく生まれてくるって。」
思い返すように、クラウドが返事をした。
「・・・ああ」
わたしも海を見ながら、少し考え込んだ。
「エアリスとして生まれる前の“わたし”の記憶って、今のわたしの中に、少しは残っているのかな?」
「え?」
ちょっと眉根を寄せている。思わず笑ってしまった。
「だからー、前世の記憶。わたしね、クラウドの声を初めて聞いた時、懐かしいって思ったの。
会ってすぐ、好きになっちゃったし。なんだか離れたくなくて、無理いって七番街までついていこうとして・・・。
ずっと探してた人に会えたみたいな、そんな感じがしたんだ。
だから、前世もクラウドが好きで、その記憶が残ってたのかなーって。」
少し照れながらそう言うと、クラウドは目を見開いてびっくりしている。
「・・・あっ、引いちゃった?」
思い込みが激しいって思われたかな。
ちょっと心配になって慌てていると、彼がはっとした。
「ち、違う。ちょっと・・・驚いた。」
いつもみたいに照れてるのとは違うみたい。
どうしたのかな?
「俺も・・・」
「ん?」
「俺も、そうだった。声を聞いた時、懐かしいような気がして・・・すごく惹かれて・・・やっと会えた、と・・・。」
わたしは胸が熱くなった。わたしだけじゃなくて、クラウドもそんな風に感じたんだ。それってすごく、うれしい。だって・・・「もしかして、前世も2人でこうしてたのかな?」わたしが笑いかけると、クラウドも目を細めた。
「じゃ、ライフストリームに還って、生まれ変わっても、また“あなた”に会えるかも・・・」
空を見上げた。
「その時は“あなた”だって、わかるといいな」
・・・できたら、来世は・・・もっと穏やかで平凡な境遇に生まれたい。
そして、彼の隣で笑っていたい。
急にクラウドに抱きしめられた。
「ライフストリームに還るなんて・・・まだ先の話だ。」
・・・いけない、不安にさせちゃった。
「そう、だね。ずっと先、だよね?」
クラウドに笑ってみせる。
わたし、上手に笑えてるかな。
気づかれたくない。
この、悲しい予感のことは・・・。
「・・・でも忘れないで。わたし、来世でも、あなたのこと探すよ。きっとまた、会える。」
わたしも彼を抱きしめた。
「クラウドも、探してね?」
わたしが問いかけると、彼は小さく頷いた。
「ああ・・・例えどんなに遠く離れても、必ず見つける。・・・誓うよ。」
抱えていた不安や恐怖が、彼の言葉で消えていく。
死が、怖くなくなっていく。
でもやっぱり、現世で一緒に、幸せになりたいから・・・わたし、がんばるね。
運命に負けないように。
あなたのところへ帰れるように。
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