Prologue
桃翔さま



出会いは偶然だった。
ミッドガルの雑踏の、せわしなく行き交う人々の中に、彼女を見つけた。
大地を思わせる艶やかでやわらかな長い髪。
美しい顔立ちと、翡翠色の大きな瞳。
暖かで、凛とした感じの雰囲気。
魂の深い部分で惹かれるような、そんな錯覚を起こした。
こんな気持ちは、生まれて初めてだった。

引き寄せられるように彼女に向かって歩み寄ると、彼女は一輪の花を取り出し、微笑んだ。
「1ギルなんだけど、どう?」
桜色の唇から発せられるその声は、なぜか懐かしく心地よい。
周囲の殺伐とした雰囲気の中では、彼女の存在自体が特異なものに感じられた。
普段の俺ならば、絶対に買わないはずの花。
それなのに手にしている自分に驚く。
そして心の中で思う。
また会えるだろうか、と。



出会いは偶然だった。
ミッドガルの雑踏の、せわしなく行き交う人々の中に、彼を見つけた。
満月のように黄金に輝く髪。
整った顔立ちと、神秘的な湖のような蒼い瞳。
強さと弱さを併せ持つ、不思議な雰囲気。
魂の深い部分で惹かれるような、そんな錯覚を起こした。
こんな気持ちは、生まれて初めてだった。

彼が近づいてくる。胸が高鳴る。カゴの中の花を取り出し、微笑んだ。
「花なんて、めずらしいな。」
形のいい唇から発せられるその声は、なぜか懐かしく心地よい。
周囲の殺伐とした雰囲気の中で、一人落ち着いている彼が、頼もしく感じられた。
わたしを、覚えていて欲しかった。
彼が花を手にしてくれて、ちょっとした繋がりができたようで、嬉しかった。
そして心の中で思う。
また、会えるかな。





それは俺にとって、奇跡だった。
一歩間違えば死んでいた。でもこの教会の屋根と、彼女の慈しむ花々が、俺を守ってくれた。
「・・・また、会えたね。」
美しい翡翠色の大きな瞳。
「・・・おぼえてないの?」
覚えていないはずがない。
どこかで、また会えないかと、柄にもなく思っていた。
「あっ!うれしいな〜!あの時は、お花、買ってくれてありがと。」
その笑顔に俺は釘付けになった。
このまま別れてしまうのが惜しいような気持ちでいると、彼女が言った。
「ね、いろいろお話したいんだけど、どうかな?せっかく、こうしてまた、会えたんだし・・・ね?」
彼女が同じ気持ちでいたことに、心から嬉しく思った。



それはわたしにとって、奇跡だった。
一歩間違えば死んでた。でもこの教会の屋根と、わたしの育てた花々が、彼を守ってくれた。
「あんたの花畑・・・?すまなかった。」
綺麗な蒼い色の瞳。
わたしのこと、覚えてる?
「覚えてるさ。花を売ってたな。」
覚えててくれた!
どこかで、また会えないかなって、思ってた。
花のお礼を言うと、ふっと彼が笑った。
こんな風に、笑うんだ。彼の笑顔に、私は釘付けになった。
このまま別れたくない、そう思って問いかけると、彼が言った。
「・・・ああ、構わない。」
彼が答えてくれたことに、心から嬉しく思った。





彼女はいったい何者なんだろう。
神羅のタークス――
そんなやつらに、彼女は狙われていた。
「なんでも屋って、ボディガードも引き受ける?」
もちろんだ。なんでも屋、だからな。ただし、報酬は安くない。
「じゃあねえ・・・デート1回!」
彼女の冗談めかした微笑につられて、思わず笑ってしまう。
本当は報酬などなくても、護ってやるつもりだった。
でもその約束が嬉しくて、少しキザに振舞った。



もう、こんなときに。
神羅のタークス――
彼らに追われ続けて、何年になるだろ。
もっと彼と一緒にいたくて、ついボディガードを依頼してみた。
「ああ、いいだろう。ただし報酬は、安くはない。」
目、ちょっと笑ってる。最初から助けてくれるつもり、だね。
わたしが冗談を言うと、彼はちょっと気取って答えた。
「お引き受けしよう。」
冗談でもデートの約束ができて、なんだか嬉しかった。





「どうしてあんたが狙われる?なにかわけがあるんだろ?」
「うーん・・・」
「タークスはソルジャーのスカウトなんかもやってるが・・・。」
「あ、わたし、ソルジャーの素質、あるのかも!」


「はぁ、はぁ・・・ま、待って!」
「おかしいな。ソルジャーの素質あるんだろ?」
「んもうっ!いじわるっ!」

声を出して笑うのは、何年ぶりだろう?




彼女の家についた。
ここで、お別れだな・・・。
七番街へ行くことを告げると、彼女が送るといいだした。
それではまた彼女を危険な目に合わせてしまう。
母親に頼まれたこともあり、夜中にそっと抜け出すことにした。
彼女のそばにいると、いつもの自分ではなくなっていく。
俺は、会って間もない彼女にいつのまにか心を許し、願わくばもう少し共に過ごしたいと思っている。
俺は一体どうしたんだろう。



私の家についた。
ここで、お別れ、か・・・。
彼が七番街へ行くという。
「決めた!わたし、送っていく!」
彼が困ってるの、わかってる。でも自分が止められない。
彼のそばにいると、いつもの自分ではなくなっていく。
わたしは、会って間もない彼に、いつのまにか心を許し、願わくばもう少し共に過ごしたいと思ってる。
わたし、一体どうしちゃったんだろ。





幼馴染の名前が出た。
「彼女?」
彼女が聞く。
誤解されたくない。
慌てて否定すると、彼女が笑った。
「ふふっ、そ〜んなにムキにならなくても、いいと思うけど。」
彼女が花のように笑うので、心底ほっとする。



女性の名前が出た。
問いかけた私に、彼が聞き返す。
「彼女?」
彼ははっとして、ちょっと慌てて言った。
「そんなんじゃない!」
思わず笑ってしまった。
ムキになって否定してくれたことが、嬉しい。





七番街へ向かう途中、公園の滑り台に2人で腰掛ける。
「クラスは?ソルジャーのクラス。」
彼女は妙に詳しい。
1stだと告げると、彼女はちょっと遠くを見て言った。
「ふーん・・・同じだ・・・。」
誰と同じだと言うのだろう。
「初めて好きになった人。」
急に胸がザワザワし始める。
付き合ってたのだろうか?
「ううん、そんなんじゃないの。ただ、ちょっといいなって思ってただけ。」
彼女は笑って首を振った。
俺は何をほっとしている?

彼女と見つめ合う。
美しい翡翠色の瞳から、目が離せない。
この気持ちは、なんだろう?
・・・違う、もうとっくに気づいていた。
あのミッドガルの雑踏の中で、初めて会った時から・・・
俺は・・・彼女に恋をしている。
会って間もないのに、どうしてこんなに惹かれるのだろう。
自覚すると、うっすら頬が染まっていくのがわかる。
まるで生まれる前から、恋に落ちることがわかっていたようだ。



七番街へ向かう途中、子供の頃によく遊んだ、思い出の滑り台に2人で腰掛ける。
そういえば、彼のソルジャーのクラス、なんだろ?
「クラス・・・1stだ。」
1st・・・彼と同じだったんだ。
「誰と同じだって?」
つい、口がすべる。
あんまり言いたくなかったな。
「・・・付き合ってた?」
彼が少し心配そうな顔をするから、びっくりする。
思わず慌てて否定した。
彼が小さくため息をつき、ちょっと微笑んだ。

彼と見つめ合う。
神秘的な蒼い瞳から、目が離せない。
この気持ちは、何?
・・・違う、もうとっくに気づいてた。
あのミッドガルの雑踏の中で、初めて会った時から・・・
わたし・・・彼に恋してる。
会って間もないのに、どうしてこんなに惹かれるの?
自覚すると、うっすら頬が染まっていくのがわかる。
まるで生まれる前から、恋に落ちることがわかっていたよう。



・・・ずっと、探していたのかもしれない。
この、運命の人を。