ぽかぽか陽のあたる草っぱらで、休憩と称していいきもちの午後。
クラウドはらっかせいの殻をわって粉っぽくなった指を、ごしごしこすって目を細めた。
「けっこううまい」
エアリスはふかふかの下生えの上に足をのばして、うすい色のそれをつまんで、いー、とつぶやく。
「い・・・い、『イルカ』」
「『かめ』」
ふいうちみたいにやってくるお遊びに、クラウドとエアリスはもちろん同時にのった。
クラウドは、もうやめよう、もうやめよう、と、もう何度目か自分にいいきかせながら、やめられずに種を放る。
舌にしょっぱい。くせになりそうだ。
「めー・・・・『めだか』?」
「『カルメ』」
「メー・・・・・・・・また『め』?」
むっと眉をよせてふりかえるエアリスに、くくっとわらう。
むずかしい顔をして、めー、といいながら、川面のきらきらをながめる横顔。まったく実に素敵にのどかだ。
「め、め、め・・・・『めんどくさい』」
「なんだそれ」
おもわずぶはっとふきだしたら、うふふとわらってエアリスがしてやったりな顔。クラウドも頭をひねる。
「いー・・・・『胃腸虚弱』」
「よわいの?!」
「弱くない」
「なーんだ」
「なんだじゃないよ。ほら、『く』」
がっかりーとわざとらしく肩をおとしているのに今度はクラウドのほうがむっとした顔をして、隣でへたりこんでる頭をかるくこづく。
エアリスもくくっとわらった。
「くー・・・・く、く、く、『苦労のかいがあった』、で、『た』!」
「・・・・・・・それずるくないか?」
「いいから、ほら、はい、『た』」
いひひ、と人の悪そうなわらいかたをしてうながされ、クラウドはがりがり頭をかいて、た、た、と声にだしてみる。
らっかせいをぱきんとわれば、うすいろの粉がまた指にこびりついた。
「『たんじょうびおめでとう』」
「!」


ふいうちにおもわずぐしゃぐしゃにしてしまった殻を手のなかで握りつぶしてしまって、ふりかえったエアリスの顔がまっかだったので、クラウドは満足して種を口にほうりこんだ。
塩がびりりと舌にからくてやっぱりくせになりそうな、2月7日のいいきもちの午後。

この小説は、渕カシイさまの作品です
著作権は渕カシイさまにあります
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